01.08.15:32
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01.13.03:20
神様の恋
祭囃子から遠く離れた森の奥、七色の花が散りばめられた若草の川辺。そこに一人のうら若き少女が経っていた。美しい恵みを籠いっぱいに抱え込み、小柄な体を懸命に伸ばして空を見上げていた。少女にはわかっていた。そこに一人の男が立っていることを。
男の長い髪が風に揺れ、少女はその姿に目を奪われる。
そして尋ねる。
「なぜ私には××××が見えるのですか?」
男は答える。
「この世の神がオマエに特別な運命を与えたからだ」
男は続ける。
「この世の神は果てしなく残酷だ。オマエに与えられた運命もまた、決して受け入れるべきではない程過酷なものに違いない。今すぐにでもここから立ち去り、全てを忘れろ。さもなくばオマエもまた、同じ運命を辿ることになる」
「構いません」
少女は一言、男に告げる。
「私は××××に出逢えたことを神に感謝しています」
少女は何もない空に向かって、一輪の青い花を差し出した。
「私は××××に恋をしてしまいました」
今思えば、それが全ての過ちだったのかも知れない。気付けば神に愛されし少女は何処かへ消え、残った男は一輪の花を握りしめ、何処か知らない大地に座り込んでいた。
神様の恋
それでも一緒にいたいと語った少女のために、男は神殺しを企てた。
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